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USB Type-C ケーブルの選び方

ひとまずこの2つの商品を見てほしい。

どちらも Type-C - Type-C コネクタを持つ USB ケーブルだが、価格に10倍以上の差がある。

なぜ同じ (ように見える) ケーブルでここまで差があるのか、説明できるだろうか?

最近はスマホにも USB Type-C ポートが搭載されることも増え USB Type-C という規格もかなり普及してきたが、その実さまざまな規格のケーブルが入り乱れており粗悪なケーブルも少なくない。ガジェットオタクでもない一般の消費者がこの状況で適切な購買行動ができるかというと、無理があると言わざるを得ない。

少しでも理解の一助となるため・・・というか自分がケーブルを買うときにワケワカメだったので、USB Type-C ケーブルを買うときに気にすべきポイントをまとめていく。

はじめに

今回は「Type-C - Type-C ケーブルの話」をする。

ポート側 (給電機器とか) の話とか Type-A - Type-C ケーブルの話とかはしない。 急速充電のプロトコルの話とかをし始めるともう収拾がつかなくなってしまう。

先にまとめ: Type-C to Type-C ケーブルの選び方

  1. USB-IF 認証を取得しているかを気にしよう
  2. USB PD で早く給電したい場合は 5A のケーブルを買おう
  3. 映像出力がしたい場合は USB 2.0 のケーブルを買うのはやめよう
  4. 通信規格が USB 3.x Gen 1 か USB 3.x Gen 2 かでデータ転送速度が変わるので、価格と速度とのトレードオフを考えよう
    • 安いからといってよくわからずに USB 2.0 のケーブルを買うのはやめよう
  5. Thunderbolt 3 に対応したケーブルを買うときは、長さや種類 (パッシブ/アクティブ) に気をつけよう
    • Thunderbolt 3 って何?という人は多分恩恵を受けないので気にせず普通の USB Type-C ケーブルを買えばよろしい

1. USB-IF 認証を取得しているか

USB Type-C ケーブルの粗悪品が出回りすぎたためか、USB規格推進団体 USB-IF は2019年から USB Type-C の認証プログラムを開始した。

この USB-IF 認証を取得しているかどうかは USB Type-C ケーブルを買う上でひとつの目安になるもので、どれを買ったら良いかよくわからない場合はとりあえずこの認証を取得しているケーブルに絞って考えたら良さそう。

2. USB PD 対応かどうか

実は「Type-C to Type-C ケーブルに限って言えば」PD 対応/非対応 という区別があるわけではなく、どのケーブルでも USB PD に対応している。ただしケーブルによって定格電流が異なり、給電能力に差が出てくる。

定格電流 給電能力
3A 最大 60W
5A 最大 100W

ノート PC などを早く充電したい場合は、5A のケーブルを選ぶのがよさそう。

3. 映像出力ができるかどうか

USB Type-C では、Alternate Mode という仕様を利用することでデータ通信だけでなく映像出力などを行うこともできる。しかし USB 2.0 のみ対応のケーブルは Alternate Mode に必要な信号線が存在しないため、映像出力はできない。

映像出力がしたい場合は USB 2.0 ではない (USB 3.x に対応している) ケーブルを買おう。

4. どの通信規格に対応しているか

USB Type-C ケーブルを選ぶ上で一番ややこしいのがこの通信規格。

そもそも「USB Type-C とはコネクタ形状の一種」だが、「同じ USB Type-C コネクタを持つケーブルであっても扱える通信規格が異なる」というのがややこしい。

通信規格 データ転送速度 補足
USB 2.0 最大 480Mbps MacBook に同梱されている Type-C ケーブルはコレ
USB 3.0 (旧称)
USB 3.1 Gen 1 (旧称)
USB 3.2 Gen 1x1
最大 5Gbps SuperSpeed USB のロゴがある
USB 3.1 Gen 2 (旧称)
USB 3.2 Gen 2x1
最大 10Gbps SuperSpeed+ USB のロゴがある
USB 4 Gen 3 最大 20Gbps
USB 4 Gen 3×2 最大 40Gbps Thunderbolt 3 互換

USB 3.x は全く同じ規格でも名称変更されることがあり、例えば「USB 3.0」と「USB 3.2 Gen 1x1」は全く同じ規格である。これもややこしい。USB 3.x の名称がややこしすぎたのか、次世代規格のUSB 4 からは「4.x」という表記にはならないようだ。USB 4 は 2020 年時点ではまだ普及していないので、通信規格としての USB は実質3種類しかない。

ケーブルを買うときは、3.1 とか 3.2 とかいう数字に騙されずに、Gen 1 か Gen 2 かを見極めて買おう。

USB 2.0 のみ対応のケーブルは安く販売されているが、Alternate Mode が使えないので「映像出力できなくていい」「最低限の通信と給電ができればいい」という場合以外では買わないほうがよさそう。

補足: USB 3.2 Gen 2x2 ってやつは?

上の表に記載されていない「USB 3.2 Gen 1x2」「USB 3.2 Gen 2x2」という通信規格もある。

これはデータ転送に使う SuperSpeed 信号線を2セット (4レーン) 使うことで通信速度が倍になるというものだが、ケーブルが USB 3.2 Gen 2x1 に対応していれば USB 3.2 Gen 2x2 の通信も行えるはずなので、ケーブルを買う際には特に気にする必要はなさそう。

補足: Thunderbolt 3 ケーブルって何???

USB Type-C ケーブルを調べているとよく「Thunderbolt 3 ケーブル」というのがよく出てくるが、これは何か。

Thunderbolt 3 も Alternate Mode を利用した通信プロトコルである。Alternate Mode を利用した映像出力では Display Port や HDMI といったプロトコルを喋っているが、Thunderbolt 3 では映像出力に加えて最大 40Gbps でのデータ通信も行える。

Thunderbolt 3 で通信を行うためには Thunderbolt 3 ケーブルが必要だが、Thunderbolt 3 ケーブルは USB 3.2 Gen 2x1 と後方互換性があるため、普通の USB Type-C ケーブルとして使うこともできる。ただしこれには例外があって、アクティブケーブルと呼ばれる種類の Thunderbolt 3 ケーブルは USB 3.2 Gen 2x1 に対応していない。

ケーブル種類 データ転送速度 補足
パッシブケーブル (1m未満) 最大 40Gbps
パッシブケーブル (1m以上) 最大 20Gbps
アクティブケーブル 最大 40Gbps USB 3.2 Gen 2x1 と互換性がない
Thunderbolt 3 Pro ケーブル 最大 40Gbps 価格がすごい (12,800円+税)

Thunderbolt 3 に対応したケーブルを買うときは、長さや種類 (パッシブ/アクティブ) に気をつけよう。

まとめ (再掲): Type-C to Type-C ケーブルの選び方

  1. USB-IF 認証を取得しているかを気にしよう
  2. USB PD で早く給電したい場合は 5A のケーブルを買おう
  3. 映像出力がしたい場合は USB 2.0 のケーブルを買うのはやめよう
  4. 通信規格が USB 3.x Gen 1 か USB 3.x Gen 2 かでデータ転送速度が変わるので、価格と速度とのトレードオフを考えよう
    • 安いからといってよくわからずに USB 2.0 のケーブルを買うのはやめよう
  5. Thunderbolt 3 に対応したケーブルを買うときは、長さや種類 (パッシブ/アクティブ) に気をつけよう
    • Thunderbolt 3 って何?という人は多分恩恵を受けないので気にせず普通の USB Type-C ケーブルを買えばよろしい

何を買えば良いのか

無難なやつをいくつか載せておく。

USB-IF 認証を取得していて、USB 3.x Gen 2 に対応していて、定格電流が 5A (最大 100W の給電が可能)。 Thunderbolt 3 が必要ないのであれば今のところコレを買っておけば困ることなさそう。

Thunderbolt 3 が必要ならこのへんが選択肢に挙がるが、少し高い。 コレは 1m 未満のパッシブケーブルなので、最大 40Gbps のデータ転送と USB 3.x Gen 2 に対応している。

www.apple.com

お金が有り余っているブルジョワはとりあえず Thunderbolt 3 Pro ケーブルを買っておけば間違いない。

参考リンク

pc.watch.impress.co.jp gigazine.net www.phileweb.com andmem.blogspot.com hanpenblog.com katsu-digi.com hanpenblog.com 8vivid.net